So-net無料ブログ作成
検索選択

11夫婦善哉 [夫婦善哉]

 「この店譲ります」と貼出ししたまま、陰気臭くずっと店を閉めたきりだった。柳吉は浄瑠璃の稽古に通い出した。貯えの金も次第に薄くなって行くのに、一向に店の買手がつかなかった。蝶子の肚はそろそろ、三度目のヤトナを考えていた。ある日、二階の窓から表の人通りを眺めていると、それが皆客に見えて、商売をしていないことがいかにも惜しかった。向い側の五六軒先にある果物屋が、赤や黄や緑の色が咲きこぼれていて、活気を見せた。客の出入りも多かった。果物屋はええ商売やとふと思うと、もういても立ってもいられず、柳吉が浄瑠璃の稽古から帰って来ると、早速「果物屋(あかもんや)をやれへんか」柳吉は乗気にならなかった。


nice!(2)  コメント(0) 

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。